石狩から北へ走って、厚田の灯りが後ろへ流れていく。
海沿いの道は、昼間ならただ気持ちいいドライブコースです。けれど夜に走ると、景色の印象がまるごと変わります。右手には暗い山、左手には黒く沈んだ日本海。ヘッドライトの先にカーブが現れるたび、「このまま浜益まで行くか、それとも途中で一度止めるか」を考えます。
その途中にあるのが、濃昼漁港です。
ただし、濃昼漁港は「ここへ行けばロックフィッシュが熱い」と雑に言える港ではありません。旧スポット記事でも、水深は浅く、根掛かりは比較的少なく、ロックフィッシングでは小型根魚の数釣り中心と整理されていました。つまり、夢を見すぎると外します。
でも、だから価値がないわけではありません。
むしろ濃昼は、厚田から浜益へ向かう夜に、その日の海を読み直すための小さな判断港として見ると急に使いやすくなります。浅いからこそ底の変化が見える。人気が高すぎないからこそ落ち着いて準備を立て直せる。浜益や雄冬へ突っ込む前に、風・波・水色・自分の集中力を確認できる。
ここでは濃昼漁港を、無理に本命港へ持ち上げず、浅い港をどう使うかという視点で読み直します。釣れる魚、立ち位置、リグ、外しやすい考え方、浜益・雄冬・増毛へつなぐ判断まで、夜のロックフィッシュ目線でまとめます。
濃昼漁港はどんな釣り場か

濃昼漁港は、石狩市の厚田・浜益エリアにある小さな港です。旧スポット記事では、住所は「北海道石狩市厚田区濃昼」、駐車スペースあり、トイレなし、周辺の釣具店は石狩新港方面へ戻るか増毛方面まで行く必要あり、と整理されていました。
2026年4月1日以降、石狩市の町名変更により、従来の「厚田区濃昼」は「厚田濃昼」という表記へ変わっています。さらに公式ページでは、浜益側にも「浜益濃昼」の表記が示されています。濃昼は、もともと濃昼川を挟んで厚田と浜益の両側にまたがる地名として紹介されており、境目の土地という性格が強い場所です。
石狩市公式の地名解説では、濃昼はアイヌ語の「ポキン・ピリ」、つまり「下の・蔭」に由来し、急峻な崖続きの海岸の中で、濃昼川河口の岩岬の陰にわずかな平地があり、そこに鰊番屋などの漁業集落がつくられたと説明されています。
この説明を読むと、港の見え方が少し変わります。濃昼は大きな港町ではありません。山と海の間に、すっと残った小さな平地。その奥にある港です。だから、釣り場としても派手ではない。けれど、北へ向かう途中で一度海を確かめる場所としては、かなり意味があります。
まず押さえたい濃昼漁港の基本情報
| 項目 | 旧スポット記事の整理 | ロックフィッシュ目線の読み方 |
|---|---|---|
| エリア | 道央、石狩市厚田区濃昼 | 厚田から浜益へ向かう途中の小港として見る |
| 駐車 | 駐車スペースあり | 長居前提ではなく、短時間で様子を見る使い方が合う |
| トイレ | 無し | 夜釣りでは先に済ませてから入る |
| 補給 | 釣具店は石狩新港方面か増毛方面。コンビニは浜益方面 | 現地で何とかする港ではなく、出発前準備が前提 |
| 水深 | 浅い | 重いリグで遠投するより、軽く丁寧に探る方が合う |
| 底 | 根掛かりは比較的少ない | 初心者の練習、状況確認、軽量リグの調整に使いやすい |
| 魚種 | カレイ、チカ、ソイ、アブラコ、ガヤ | 大型狙いより、小型の反応と海の状態を見る港 |
この表で一番大事なのは、濃昼を過大評価しないことです。水深が浅く、ロックフィッシュでは大型の期待値が高い港ではない。ここを無視して「穴場」「爆釣」と書くと、現場でがっかりします。
ただし、浅い港には浅い港の良さがあります。重いリグを投げ込んで強引に探る必要がない。底を取りやすい。風がどのくらいラインへ触るか、潮が動いているか、港内に小魚の気配があるかを確かめやすい。つまり濃昼は、釣果だけで評価すると薄いが、判断材料として見ると役に立つ港です。
濃昼は「本命港」より「判断港」として強い
濃昼へ入るときに、最初から「ここで良型を出す」と決めてしまうと、釣りが硬くなります。
浅い港で良型だけを追うと、どうしても遠くへ投げたくなります。重くしたくなります。少しでも変化がありそうな場所へ、無理に角度をつけたくなります。でも濃昼でそれをやると、港の性格と噛み合いません。旧記事にもある通り、根掛かりは比較的少なく、水深は浅い。つまり、目の前に強い根や深いブレイクがはっきり出る港ではないということです。
だから濃昼では、釣果を作る前に次のことを見ます。
- 一投目で、着底までの速さと底の硬さを見る。
- 二投目で、港内の潮の重さとラインの流され方を見る。
- 三投目で、小魚・ガヤ・小ソイの反応があるかを見る。
- 十分投げたあとで、浜益まで進むか、厚田方面へ戻すかを決める。
この使い方なら、釣れなくても無駄になりません。むしろ濃昼で得た情報が、その後の浜益や雄冬で効いてきます。風が思ったより横から入る。港内が静かすぎる。小魚が薄い。足元の水が冷たい。そういう小さな違和感を拾ったうえで北上できるなら、次の港での一投目が雑になりません。
ロックフィッシュ目線で見た濃昼の現実

濃昼漁港でロックフィッシュを考えるなら、まず期待値を整理します。
旧スポット記事では、釣れる魚としてソイ、アブラコ、ガヤが挙げられています。一方で、特徴欄には「あまり根魚の釣果は期待できない」「水深が浅く、小さいサイズの根魚の数釣りしか期待できない」と、かなりはっきり書かれています。
この情報は、今の記事でもそのまま大事です。
濃昼は、雄冬のように外海テトラの一発を狙う港ではありません。増毛のように、港町全体の内湾と外海を使って組み直す港でもありません。浜益のように、内湾の浅さと外海テトラの強さが露骨に分かれる港とも少し違います。
濃昼はもっと小さい。もっと静かです。
そのぶん、小型の反応を拾いながら、その夜の海が生きているかを確かめる使い方が合います。ガヤや小ソイが触るなら、少なくとも港内に生命感はあります。逆に、何を投げても無音なら、そこで粘る理由はかなり薄い。浜益へ進むか、時間を変えるか、別日の釣りに回した方がいいです。
ここを割り切れる人ほど、濃昼をうまく使えます。釣果を膨らませる港ではなく、釣りを崩さないための港として見るのが正解です。
港を3つに分けて釣りを組み立てる
濃昼漁港は大きな港ではありませんが、ざっくり3つに分けて見ると迷いにくくなります。
| 見る場所 | 最初に確認すること | 釣り方の目安 |
|---|---|---|
| 港内の足元 | 小魚、ガヤ、小ソイの反応 | 軽量リグで短く刻み、生命感を確認する |
| 船道・少し深い筋 | 着底までの時間、潮の重さ | 5g前後から始め、底を失わない重さに調整する |
| 外側に近い面 | 波、風、濡れた足場、退路 | 無理に降りず、触れる範囲だけを見る |
最初は港内の足元からで十分です。浅い港ほど、いきなり遠投すると情報がぼやけます。まず手前で小さな反応があるかを見る。小さくても魚が触るなら、次に船道や少し深い筋へ広げる。そこで底を取りながら、ワームのサイズと重さを変えていきます。
反対に、港内で何も起きないのに外側へ急ぐのは危険です。濃昼は本命外海の港ではありません。外側の雰囲気に引っ張られて無理をするくらいなら、濃昼での確認を終えて浜益へ移動する方が、釣り全体としては強いです。
厚田・濃昼・浜益をどうつなぐか
濃昼の価値は、単独で完結させるより、ルートの中で考えた方が見えます。
厚田方面から北へ走る場合、濃昼は浜益の手前にあります。つまり、ここで竿を出すかどうかは、「今日は浜益まで行くのか」「雄冬まで伸ばすのか」「そもそも海が良くないのか」を決める分岐になります。
おすすめの考え方は、次の通りです。
- 濃昼で15分から30分だけ海を見る
風向き、波、港内の生命感、手前の水色を確認する。 - 小型の反応があるなら軽く拾う
数釣り気味に楽しみつつ、粘りすぎず次の判断へ移る。 - 無音なら浜益へ進む
濃昼で何も起きない夜は、同じ浅さへ固執しない。 - 海が重い・風が強いなら無理に北上しない
雄冬や外海テトラへ行く前に、その日の撤退ラインを決める。
濃昼で一番やってはいけないのは、釣れないまま気持ちだけが前のめりになることです。浅い港で沈黙が続くと、「もっと北へ行けば取り返せる」と思いやすい。でも、濃昼の時点で風が強い、波が重い、集中力が落ちているなら、その北上は良い北上ではありません。
浜益は近いぶん入りやすい。雄冬は本命感があるぶん判断が重い。増毛は組み直しやすいぶん移動距離が伸びる。濃昼は、その手前で気持ちを整える港です。
濃昼で使いやすいリグと重さ
濃昼では、最初から重いリグを入れる必要はあまりありません。水深が浅く、根掛かりも比較的少ないなら、まずは軽く、丁寧に、底と魚の反応を確認した方が合います。
- 3gから5gのジグヘッド
港内の足元、小型ソイ、ガヤ、軽い反応確認に使いやすい。 - 5g前後のテキサスリグ
底を取りながら少し広く探りたいときに便利。 - 7gから10gのリグ
風がある日や、少し沖の筋を触るときの上限目安。 - 2インチから3インチのワーム
大きく見せすぎず、小型の反応を拾いながら状況を見る。
ワームは、最初から派手なシルエットで押し切るより、細身のシャッド系、ピンテール系、小さめの甲殻類系が使いやすいです。濃昼で大事なのは、一発の強さより反応の有無です。触った、追った、離した、乗らなかったという小さな情報を拾えるリグの方が、次の港へつながります。
もしガヤや小ソイが連続して触るなら、そのまま軽量で楽しむのもありです。サイズを上げたいなら、濃昼で粘るより浜益や雄冬へ移動する判断も残しておきたいところです。
季節ごとの見方と粘りどころ
濃昼は浅い港なので、季節の影響を受けやすく見ておいた方がいいです。水温が低すぎる時期、潮が動かない時間、風で港内だけが濁る夜は、反応が極端に薄くなりやすいです。
| 季節 | 見方 | 粘り方 |
|---|---|---|
| 春 | 投げ釣りのカレイ目線では面白い時期。ロックは反応確認寄り。 | 港内を短く見て、魚っ気がなければ移動する。 |
| 初夏から夏 | 小魚や小型根魚の反応を拾いやすい。 | 軽量リグでテンポよく探り、サイズ狙いは別港へつなぐ。 |
| 秋 | 人の動きや周辺の混雑も含めて見る。 | 港内で無理に粘らず、先に安全と退路を決める。 |
| 冬から早春 | 浅さが弱点になりやすい。 | 短時間確認に留め、深さのある港へ移る判断を早くする。 |
濃昼で粘っていいのは、港内に何かしら生命感があるときです。小さなガヤが触る。足元で小魚が動く。底を切った瞬間にワームを見にくる。そういう反応があるなら、軽く遊びながらパターンを探せます。
逆に、完全に無音なら早めに切った方がいいです。濃昼は、粘って状況を変える港ではなく、状況を見て判断を変える港です。
安全と補給は先に決めておく

濃昼の旧スポット記事では、トイレなし、釣具店は石狩新港方面か増毛方面、コンビニは浜益方面と整理されています。つまり、現地で足りないものを買い足す前提にはしない方がいい港です。
飲み物、軽食、替えリーダー、ライトの予備電池、タオル、雨具。このあたりは、濃昼へ入る前に揃えておきたいです。特に夜釣りでは、港へ着いてから「あれがない」と気づくと、釣りの集中力が一気に落ちます。
安全装備も同じです。海上保安庁のウォーターセーフティガイドでは、釣りの際のライフジャケット着用や、釣り場環境に合わせた履物の重要性が案内されています。濃昼そのものは足場が良いと旧記事にありますが、夜の港、濡れた岸壁、外側に近い面を考えるなら、油断する理由にはなりません。
- ライフジャケットは、港内だけの短時間でも着る。
- ライトは、手元用と予備を分ける。
- 靴は、濡れた岸壁や藻を踏んでも滑りにくいものを選ぶ。
- 退路は、最初に見てから竿を出す。
- 北上するか戻るかは、疲れる前に決める。
石狩市の地区防災ガイドでも、厚田区の中に安瀬・濃昼地区のハザードマップが用意されています。釣りの前に毎回細かく読む必要まではなくても、自分が立つ地域の避難や地形を一度見ておくことは、夜の日本海側ではかなり大事です。
濃昼で外しやすい判断ミス
濃昼で外しやすいのは、技術よりも判断です。特に次の3つはやりがちです。
- 浅いのに重くしすぎる
底は取れますが、釣りが雑になります。最初は軽く、情報を拾う方が合います。 - 小型の反応を雑魚扱いする
濃昼では、小さな反応こそ海が生きているサインです。サイズだけで切ると判断材料を捨てます。 - 沈黙したまま粘りすぎる
濃昼で無音なら、浜益や別日へ切り替えた方がいい場面が多いです。
一番怖いのは、濃昼で釣れなかった焦りを、そのまま次の港へ持ち込むことです。焦って浜益へ入り、焦って外海へ寄り、焦って雄冬まで伸ばす。そうなると、釣りではなく回収作業になります。
濃昼は、気持ちを前へ進める港ではありません。気持ちを一度落ち着かせる港です。ここで釣れたら素直に嬉しい。釣れなければ、海の情報をもらって次へ進む。それくらいの距離感がちょうどいいです。
釣行前チェックリスト
- 出発前に飲み物・軽食・ライト電池を揃えたか
- トイレを済ませてから濃昼へ入る計画になっているか
- 3gから10g程度の軽めリグをすぐ出せるか
- 小型ワームと細身ワームを用意したか
- 港内で15分から30分だけ見る時間設定を決めたか
- 釣れない場合に浜益へ進むか、戻るかを決めているか
- ライフジャケット、滑りにくい靴、予備ライトを持ったか
- 波が高い、風が強い、疲れている場合は外側へ寄らないと決めたか
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- 旧スポット記事:濃昼漁港
参考資料
- 石狩市公式ホームページ 石狩市の地名を訪ねて(1)浜益のアイヌ語地名
- 石狩市公式ホームページ 厚田区・浜益区の町名が変わります(令和8年4月1日変更)
- 石狩市公式ホームページ 石狩市地区防災ガイド(ハザードマップ)厚田区
- 海上保安庁 ウォーターセーフティガイド 1. ライフジャケット
- 海上保安庁 ウォーターセーフティガイド 2. 釣り場の環境に合わせた履物
まとめ
濃昼漁港は、ロックフィッシュの本命港として強く押し出す場所ではありません。旧スポット記事の通り、水深は浅く、根魚は小型中心になりやすい。トイレや補給も強くないので、現地で長く粘る前提にも向きません。
でも、そこを正直に見れば、この港の使い方はかなりはっきりします。
- 濃昼は、浅い港で海の状態を見る場所です。
- 小型の反応を拾って、その夜の生命感を確認する場所です。
- 浜益や雄冬へ進む前に、気持ちと装備を整える場所です。
- 無音なら粘らず、次の港へ判断を切り替える場所です。
釣り場は、全部が主役でなくてもいいです。濃昼のような小さな港が途中にあるから、北上の夜は整います。釣れたら嬉しい。釣れなくても判断材料が残る。そういう港を一つ持っていると、浜益、雄冬、別苅、増毛までのラインがずっと組みやすくなります。
FAQ
Q. 濃昼漁港はロックフィッシュ初心者にも向いていますか?
A. 足場が良く、根掛かりが比較的少ないという旧情報があるため、軽量リグで底取りを練習するには使いやすい面があります。ただし、水深は浅く大型狙いには向きにくいので、最初から釣果を大きく期待しすぎない方がいいです。
Q. 濃昼漁港だけで一晩粘れますか?
A. あまりおすすめしません。小型の反応が続くなら短時間楽しめますが、無音のまま粘る港ではありません。浜益や雄冬、増毛まで含めた北上ルートの一部として考える方が使いやすいです。
Q. 濃昼で最初に投げるなら何がいいですか?
A. 3gから5g前後のジグヘッドや軽めのテキサスリグが入りやすいです。2インチから3インチ程度のワームで、足元、船道、少し深い筋を順番に見て、反応がなければ早めに移動を考えます。